RACE REPORT/Rd.6 Autodrome Lago Maggiore
予選
「Mr.MM」の称号を手にしたのは98号車M6!
ランキング上位勢は最終戦に備えウエイトを降ろしに来る場面も
2018年8月5日に開催されたLCブランパンRd.6レイクマジョーレ。
シリーズ最終戦前の天王山となる今回のイベントだが、イタリアの北部にあるマジョーレ湖をチーフとしたシリーズ唯一のGTオリジナルサーキットで行われる特別戦という一面もあり、優勝者にはマジョーレ湖の英雄として「Mr.Maggiore Master」の称号が与えられる。
略称としては「Mr.MM」とMが3つ連なることになるが、当大会主催組織の「Little Champ(LC)」において「3つのM」とは「Masahiro/Maumau/Merry」の創立者3名を指す特別な文字列としており、この称号のステータス性はシリーズチャンピオンに勝るとも劣らず、この1戦に賭けてきているチームも多い。
そんなレイクマジョーレ戦では更に大会を盛り上げる要素として、通常のカラーリングとは違う「スパ24時間仕様」のリバリーが全車に適用され、大会名称も「Total 1 hour of Autodrome Lago Maggiore」となった。
その他のトピックスとしては、性能調整(BoP)が改訂され458GT3とニッサンGT-RGT3にパワー‐1%、ウラカンGT3にウエイト‐1%の変更がなされた。3車共にランキング上位に着けるマシンだけに、この調整がどう影響してくるかも注目したい。
迎えた予選ではM6vsR8という構図になり、ポールポジションを獲得したのは#99M6。2番手にも#98M6が着けてROWEレーシングがフロントローを固める結果となった。
ウエイトを積む上位勢は予想通り苦戦し、ランキングトップ#4AMGは10番手、#23GT-R・#72フェラーリも下位に沈み、#17R8のヤムはパッド参戦ということもあり最後尾からのスタートとなってしまった。
決勝
ROWEレーシングの2台を先頭として、スパ24時間カラーリングに彩られた16台が一斉にスタートを切る
まずは順当にトップ集団が抜けていく中、中団では激しく順位変動が起こる。
4番手スタートの#1R8が#114RCFにジェットコースターストレートでオーバーテイクされるが、トップ3には変動なくオープニングラップを終える。
レース8分経過
7番手スタートから少し順位を落としていた#911ポルシェがスピードを取り戻し、#43・#88と2台のAMGをオーバーテイクし6番手へ浮上。
激化した争いで6番手から13番手まで団子になる中、#44AMGが#63ウラカンに弾かれてコースオフし順位を下げてしまう。
しかしレース11分経過した所の最終コーナーで#911がコースオフ。この隙を突いて1コーナーで#43AMGが6番手に上げる。
その頃トップ争いは1-2体制のROWEに、かつみなみに代わって出場のシュンスケが乗る#66R8が挑む形になり、12分経過時点の1コーナーで#98M6を攻略し2番手に上がってきた。
レース14分経過
予選5番手ながらバックオフしていた#63ウラカンだったが、BoP変更でストレートスピードにアドバンテージを得たか、ジェットコースターストレートで7番手#911ポルシェを一気に追い抜くと、そのままヘアピンでやや強引に#43AMGのインにねじ込んで6番手に順位を上げる。
レース20分経過時点では暫くレース展開に落ち着きを見せる
トップの#99M6は#66R8を振り切るまでにはいたらず、#66R8も様子を見ている
団子状態の7番手集団は#43AMGがペースの速い#911や#88を抑え、そこにウエイトを積んだランキング上位勢が連なる展開。
レース25分経過
1コーナーで#43AMGが牽制するさらにインから#911ポルシェが仕掛けていくが、続く2コーナーでその隙を突いた#88AMGが#911ポルシェを抜き8番手へ
さらに#43AMGへのオーバーテイクを試みる。
逆バンク形状の右コーナーで#43・#88・#911が3ワイドになって争うが、一番アウト側の#911ポルシェのスペースがやや足りずコースオフ。
12番手まで順位を下げてしまった。
同じAMG同士ながら救済処置により+1%パワーアップがなされている#88AMGに対し、ストレートではキツめのブロックで7番手を守っていた#43AMGだったが、レース27分時点の5コーナーアウト側から#88AMGが#43AMGを攻略し7番手へ。
レース32分で大半のマシンがピットに入っていった
比較的摩耗の激しいコースであるためタイヤを交換するチームが多い中、#99AMGや#43AMG、#4AMGなどはタイヤ無交換作戦をとる。
2番手を走っていた#66R8#や88AMGはピットインタイミングギリギリまで引っ張りレース34分でピットイン
全車ピットインを済ませた所でトップに立ったのは#66R8!
約5秒近いリードを持って復帰することに成功した。
#63ウラカンもピットで一気にタイム短縮させて#114RCFを抜いて4番手へ。6番手の#1R8以降はストラッカレーシングのAMG2台が順位を上げている。
ところが#66R8はその後すぐに再度ピットイン
なんとピットバグで十分に給油されないままコースインしてしまっており、2度目のピットインを強いられてしまった
レギュレーションではレース経過25~35分の間の1ピット以外のピットインはぺナルティの対象となっており、#66R8は3番手でコース復帰したものの30秒加算ぺナルティが確定してしまった。
同じ頃14番手を走行していた#22GT-Rが回線トラブルでリタイアを喫する。
レース44分経過
7番手で復帰したものの、燃費がややキツくペースが伸びていない#43AMGにジェットコースターストレートからのヘヘアピン進入で仕掛けた#88AMGだが、イン側から#43AMGをスピンさせる形で接触してしまう。
その後失速した#43AMGに#911ポルシェが突っ込むクラッシュが発生
この接触に関しては#88AMGに決勝結果から10秒加算ぺナルティとされた。
この接触によりフルコースイエローが提示される。
ROWEレーシングは1-2でリードを築いていたのだが、一度リセットされて再スタートということになった。
レース経過48分でリスタートされたが、6番手を走っていた#1R8は前が詰まったところでパワーに勝る#88AMGに抜かされ7番手へ。
またこのSCランで前との差が詰まった#114RCFは3番手#66R8をヘアピンでオーバーテイクしていく。
レース残り5分
5番手を走っていた#63ウラカンだったが、ピットインで給油した燃料が少なく燃費走行を強いられ大幅にペースダウン。
#88AMGにジェットコースターストレートで抜かれた後、次の周の同じ場所で#1R8にも抜かれてしまい7番手に順位を落とす
レース残り2分というところでは8番手を走行していた#44AMGはガス欠でストップしてしまう。
ファイナルラップ
ここまでずっと#99M6の後ろ2番手を走行していた#98M6が、初めて1コーナーで#99M6に仕掛ける
#99M6はタイヤ無交換作戦で、ペースは#98M6の方が良い状態であるため無理なブロックをすることなく先に行かせ、#98M6がランキングボード首位に躍り出た。
このままROWEレーシングの1-2フィニッシュかに思われたが、#99M6のタイヤ摩耗状態はかなり深刻になっており、#66R8・#114RCFにもあっさり抜かれてしまい4番手までドロップしてしまう
そしてチェッカー。GTオリジナルコースの特別戦を制したのは#98M6!
このレイクマジョーレが得意と自負していたオカサンに「Mr.MM」の称号が与えられることとなった!
2番手には#66R8が入ったが、ピットインルールの違反によるぺナルティを受け13番手となり、繰り上がりで#114RCFが2位、3位に#99M6というポディウムの面子となった。
一方タイトルを争うランキング上位勢は、最終戦に向け出来るだけウエイトを降ろしたい考えのチームも。
9番手を走っていたランキングトップの4号車はこのままの順位であれば2ポイントを獲得した上でウエイトを2%降ろすことができ、ノーウエイトで最終戦に挑める。
しかし#66R8のぺナルティで順位が繰り上がる可能性がある為、10番手を走るランキング2位の#23GT-Rにそのポジションを譲ってチェッカーを受けた。
#66R8は13位となったため順位が繰り上がり、#23GT-Rは8位、#4AMGは9位、ランキング3位#72フェラーリは10位フィニッシュとなった。
最終戦を残してのポイントランキングはこのようになった。
これでチャンピオンの権利を残したのは以下の8台となった
8th:#99 ROWE RACING / BMW M6 GT3 43pts(-24pts) WH1%
7th:#43 STRAKKA RACING / Mercedes-AMG GT3 46pts(-21pts) WH0%
自身が優勝し、かつ他のタイトル候補が軒並み崩れるという奇跡が条件ながら、タイトルの可能性を残す2台
この2台は最終戦、もう勝利を狙う他に無いだろう。
6th:#63 GRT Grasser Racing Team / Lamborghini Huracan GT3 49pts(-18pts) WH0%
5th:#1 Belgian Audi Club Team WRT / Audi R8 LMS 55pts(-12pts) WH0%
4th:#17 Belgian Audi Club Team WRT / Audi R8 LMS 55pts(-12pts) WH0%
#63は最低2位以上、WRTの2台は3位以上とこちらも決して楽な条件ではないが、3車ともニュルとの相性は良く、ウエイトハンデも0kgということもあり、優勝からの逆転チャンピオンの可能性もありえる。
同ポイントのWRT2台はどちらが優先されるかのチーム内抗争にも注目。
3rd:#72 SMP RACING / Ferrari 458 Italia GT3 59pts(-8pts) WH1%
2nd:#23 GT SPORT MOTUL Team RJN / NISSAN GT-R NISMO GT3 62pts(-5pts) WH2%
「ストップ・ザ・コンバース」の最有力となる2台。だが最終戦にウエイトハンデを載せた状態で挑まなければならないのが気掛かりか。
位置取りしだいでは、とにかく#4AMGの前にいれば逆転タイトル可能性も見えている2台だけに、注目が集まる。
1st:#4 Mercedes-AMG Team Black Falcon / Mercedes-AMG GT3 67pts WH0%
そして今現在、最もLCブランパンのシリーズタイトルに近いのが、この#4AMG
レイクマジョーレ戦で狙い通りの9位に入り、ウエイト0%で挑める最終戦は「勝って決める」という宣言も出ているが、果たして思惑通り完全勝利でシリーズチャンピオンに輝くことができるのだろうか?
5月からスタートしたLCブランパン2018シリーズの行方も、いよいよ次回・最終戦ニュルブルクリンクで決着する。
2018 LC BLANCPAIN GT SERIES Rd.7 Nurburgring GPは2018年9月16日開催予定だ。