RACE REPORT/Rd.4 SUZUKA

SMP Racingが鈴鹿席巻!シリーズも2位へ浮上!
タイヤ交換を行うか否か、給油量を減らすか否か…戦略の分れが明暗を分けた
予選

2018年7月8日に開催されたLCブランパンGT第4戦鈴鹿サーキット。
三重県鈴鹿市に位置するこのコースはシリーズ戦唯一の日本ラウンドということもあり、日本人しか参加していないLCブランパンでは全プレイヤーにとって母国ラウンドであり、最も慣れ親しんだサーキットといえる。
この鈴鹿でのトピックスはランキングトップ・#4AMGのプレイヤーコンバースの欠場に伴い、Rd.3ニュルで#1R8のステアリングを握っていたゴリライチが代役で出場したほか、#76アストンのクラも欠場により#63の2人目レギュラードライバーであるシュンスケが代役として出場している。
迎えた予選では2度目の救済を受け今度こそは入賞をと意気込むオカサンの#98M6や、鈴鹿を得意とする黒美が走らせる#911ポルシェなどが1分59秒前半の好タイムをマークするが、シリーズランキング2位に着ける#23GT-Rが1分59秒154で暫定ポール。
しかしその後、Rd.3ニュルでポールを倒しペナルティに泣いた#72フェラーリが唯一の1分58秒台となる1分58秒935を叩き出しポールポジションを確定させた。
一方BoP変更以降予選で輝きを失っているAMG勢は#44AMGの9位が最上位と今回も低迷したほか、鈴鹿は得意かに思われたR8勢は#17R8のヤムが事情によりパットプレイを強いられ15位に留まり、最上位は#1R8の8番手とこちらも今ひとつ伸び悩む。
そして2%ウエイトの#63ウラカンはTA得意のウルフをもってしても予選最下位と、予選から意外な結果となった。
決勝


いつも以上に狭い車間からスタートしたLCブランパンGTRd.4鈴鹿ラウンド
まずはポールポジションの#72フェラーリが好スタートを切っていく


#72フェラーリがやや抜け出した他は等間隔で1周目を終えたが、2周目1コーナーで6番手#114号車RCFと10番手#4AMGがコースアウトしそれぞれポジションを下げる


レース8分経過
7番手だった#1R8がホームストレートで#44AMGに捉えられると、その翌周に同じストラッカレーシングの#43AMGにも同じくホームストレートで抜かれて9番手へ後退
R8のストレートスピードはBoP変更後も伸び悩んでいる様子。


レース15分経過で2番手から5番手、8番手から12番手の2グループの争いが激しくなるが、オーバーテイクポイントが限られている鈴鹿ではポジション変動は少なく、やや硬直状態が続く


レース19分経過
ストレートで牽制しインを抑える#1R8に対し#114RCFがアウト側から並びかけ、1コーナーでアウトからオーバーテイクし9位へポジションを戻していく


レース23分経過
パッド操作でホックホクの15番手#17R8を追いかけていた最後尾の#63ウラカンが単独スピンを喫してしまい、ここでイエローコーションが発動する




レースリスタートのタイミングでレース29分が経過しており、スタートと共に9台ものマシンがピットに飛び込んでいく。

このピットワークでタイヤを交換するかしないか、燃料はどれ程入れたかがこのレースの明暗を分けることになった。
ピットインした9台の中では2番目だった#99M6や3番目だった#44AMGはタイヤを交換し燃料もしっかり目に入れたため、ピットアウト時には一番後方までポジションを落としてしまう。
#911ポルシェはタイヤ無交換でピットアウトしたものの、燃費が思わしくなく多めに燃料を積み2ポジションダウン。
一方で#66R8・#43AMG・#88AMGはタイヤ無交換かつ後半も燃費走行覚悟の燃料搭載料でポジションを上げることになった。


レース31分経過時点でトップ#72フェラーリを先頭に#114RCF・#98M6がピットイン
#72フェラーリはタイヤ無交換でピットを済ました車両の中でトップで復帰。#114RCFはタイヤを交換するもかなり給油時間を短縮しポジションをジャンプアップさせる。
#98M6はタイヤを交換し#88AMGの後ろでレース復帰した。
レース経過33分で残りの#23GT-R・#76アストン・#4AMG・#17R8がピットイン
この中でタイヤ無交換を行なったのは#23GT-Rのみで、#72フェラーリの後ろ2番手で復帰。
#4AMGはタイヤを交換したが給油量は少なく、#911ポルシェの後ろで復帰。#76アストンもタイヤを交換して#4AMGの後ろで復帰することとなった。


レース経過34分
ダンロップコーナー立ち上がりで姿勢を乱した#66R8に#43AMGが並びかけてオーバーテイクし4番手へ
#66R8はその直後のデグナー2つ目でハーフスピンを喫して7番手に後退。


レース経過38分
トップの#72フェラーリは後続を引き離し、2番手の#23GT-Rも3番手の#114RCFを引き離しに掛かり、トップ2は安全圏のマージンを作っていく。
一方後方の10番手争いはタイヤ無交換作戦の#88AMGのペースが上がらず、タイヤを交換している#1R8・#99M6・#63ウラカン・#44AMGを相手に苦しい戦いを強いられる。


レース経過40分
鈴鹿サーキットの中でも特に狭いデグナーを2列で通過しながら、#1R8が#88AMGをパスし10番手へ浮上
その後ろでもタイヤを交換し、マシンのパフォーマンスでは#88AMGを圧倒している3台が鬼気迫る走りでプレッシャーを掛けていく。


レース経過48分
3番手を走行する#114RCFはタイヤを交換したものの、燃料給油量をかなりセーブしたため燃費走行を強いられる。
それにより#43AMG・#911ポルシェ・#4AMG・#76アストンを含めた3~7位争いが激化
この中で#76アストンはタイヤ交換を行い燃料も充分に搭載して一番ペースが良く、早々に#4AMGをパスする。


レース残り9分
得意の鈴鹿でウエイトを積みながらも虎視眈々と表彰台を狙っていた#911ポルシェがシケイン進入で突然のコースアウト!
ハンコンのトラブルによりステアが切れなくなり、ここで無念の戦線離脱となってしまう。


3番手#114RCFはペースが伸び悩むもののコーナーリングは速く、4番手#43AMGはホームストレートで幾度か機会を狙うものの、見事なブロックラインで#114RCFがこれを凌ぐ
その間に更にストレートスピードに勝る5番手#76アストンが西ストレートで#43AMGを抜いて4番手に浮上する。



レース残り3分
勢いに乗る#76アストンは同じく西ストレートで#114RCFをオーバーテイクするが、#114RCFはその直後のシケインで再度並びかける
しかし立ち上がりでリアがブレイクし、内側にいた#43AMGと接触してスピン!
これにより#114RCFは8番手までドロップしてしまった。

混乱に乗じて#4AMGが4番手に浮上したが、直後の1コーナーで#43AMGが抜き返す。
差を詰めた6番手の#98M6も含めた3台が接近するが、このポジションのままフィニッシュし#43AMGはランキング4位に浮上、#4AMGはランキング首位を明け渡し3位に後退した


3位フィニッシュは助っ人起用の76号車アストン
開幕から波に乗れないレースが続いていたが、唯一タイヤ交換する作戦を成功させて表彰台の一角を勝ち取った。
#23GT-Rは1%ウエイトながら素晴らしいペースを刻み2位フィニッシュ。
ここまでコンスタントにポイントを重ねていたため、鈴鹿の結果からチャンピオンシップランキングでトップ浮上を果たした。

そして、この鈴鹿ラウンドを制したのは#72 SMP Racingのフェラーリ458!
前回のニュルGPから連続表彰台を獲得し、チャンピオンシップランキングで一気に2位まで浮上してチャンピオン争いに名乗りを上げた。

ピットでの戦略で明暗が分かれたこの1戦
これまではピットインはタイヤ無交換がセオリーとされていたが、テクニカルな鈴鹿ならではの展開が繰り広げられる結果となった。
#72フェラーリの優勝で更に混沌となっていくシリーズ争い、中盤戦で更にこの争いに加わっていくマシンが現れるのかに注目しよう。
次戦Rd.5はレイクマジョーレ…の予定であったが、予定を変更しRd.6のインテルラゴスを前倒しでRd.5とし開催する。
2018 LC BLANCPAIN GT SERIES Rd.5 INTERLAGOSは2018年7月22日(日)21時より開催予定だ。